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Cute Movies

何者

青春が終わる、人生が始まる。

何者
監督: 三浦 大輔
原作: 何者
原作者: 朝井リョウ
音楽: 中田 ヤスタカ

キャスト:佐藤 健 有村架純 二階堂ふみ 菅田将暉 岡田将生 / 山田孝之

ストーリー

「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ原作×「愛の渦」の三浦大輔監督の就職活動に臨む大学生たちを描いた青春映画。

大学の演劇サークルで脚本を書く拓人(佐藤健)。
着実に就活をすすめていく光太郎(菅田将暉)。
光太郎の元カノ瑞月(有村架純)。
意識高い系女子の理香(二階堂ふみ)。
就活はしないと言いながら、実は焦っている隆良(岡田将生)。

理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる5人は、それぞれの気持ちをSNSに吐き出しながら就活に臨んでいくが、やがて内定をもらった「裏切り者」が現れ、いままで自分が抑えていたものが噴出するようになり、これを機に、「自分が何者か」を見つめなおすようになっていく…

記者の見どころ

「青春映画」と聞くとあなたは一体何を思い浮かべるだろう。胸がときめく恋愛描写?熱く美しい友情物語?

「何者」は間違いなく若者たちの青春映画だ。
しかし、この映画は甘酸っぱい恋物語でもキラキラした夢物語でもない。描かれるのは就活を通して浮かび上がる妬み嫉みといった醜い感情や、地に足つかない自分をよく見せようと虚勢を張る滑稽な姿だ。

もしかしたら、40代以上の方などは出演者やストーリーを見て世代的に合わないと思うかもしれない。
しかしこの作品の本当のテーマは人間の醜い感情の部分に訴えかけてくるもので、世代関係なく響く普遍性の高いものだ。

人間だれしも人には決して見せたくない自分。隠したい心の底があるのではないだろうか。
本作では、そんな私たちの心の奥底を暴き倒し、真正面からつきつけてくる。
映画を観るとき、登場人物のどこかに共感性を見つけると
「あぁ~!分かる分かる!!」みたいな、自身と重ねることでそのキャラを好きになる感覚を経験した方は多いと思うが、本作ではその共感性が私たちに牙を剥きだすのだ。

個人的には
拓人(佐藤健)の一歩退いて周りを批評する姿、
里香(二階堂ふみ)の過剰な自己愛と理想に伴わない実力、
隆良(岡田将生)の自分に酔った滑稽さ
には自分と共通する部分が垣間見え、
劇中で織りなす彼らのやりとりはたまらなく笑えてたまらなく不快だ。

特に里香役を演じた二階堂ふみの、いわゆる「意識高い系」が醸し出す空気感を本当に最高だと思う。

登場人物たちが就活に翻弄される、醜く滑稽な姿はある種のコメディのようであり、全ての化けの皮が剥がされるクライマックスはもはやホラー…。
だけど、だからこそ、最後の言葉と眼差しには観ている私たちに希望と勇気を与えてくれる。

いま就職活動中の学生だけでなく、
SNSによって自身の呟きを発信することが身近になった人々には世代を問わず特に観て欲しい、最高の1本。

Text by Ryo.S