＜2024.3.4更新＞

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遺品整理
蝋型鋳造法で造られた
高岡銅器の香炉

香炉とは、お香をたくのに使う容器のことで、日本の仏具において灯明（燭台）・花瓶とともに三具足のひとつとされており、その香りは私たちの心身を浄化してくれるものとも考えられています。

宗教や地域によっても使用する香炉に違いがあります。また、もともとは仏具でしたが、今では調度品として使用する人も増えました。材質は、陶器、漆器、金属製などさまざまあります。

写真の香炉は『高岡銅器』という富山県高岡市の伝統工芸品です。
『高岡銅器』は国内の銅器の生産額の約95％を占め、梵鐘や大仏までその鋳造技術は全国的にも有名です。その始まりは、加賀藩主「前田 利長」が高岡の町を開いた時に、鋳造師を呼び寄せたことにあるそうです。

どのように造られるかというと、原型づくり→鋳造→仕上げ加工→着色という工程をたどり、どの工程においても熟練した職人が担い、それが一つになってこの上ない造形美が生まれるそうです。

基本となる技術は変わりないそうですが、作る作品などによる4つのバリエーションがあります。
◇・双型鋳造法
もっとも古い技術で、円筒型や円錐型の火鉢、茶釜、梵鐘などの製作に用いられるそうです。
◇・焼型鋳造法
小さくて複雑な置物から大きな銅像まで製作する技法。
◇・蝋型鋳造法
もっとも精度の高い技法だそうで、蜜蝋や木蝋に松脂を煮合わせたもので原型を作り、土に包んで高温で焼くと熱によって蝋が溶け隙間ができる、ここに溶かした金属を流し込みます。
◇・生型鋳造法
高岡銅器を発展させた技法で、上下の枠に完成形と同じ形の種型を入れ、砂を入れて押し固めたあと、上下枠をはずし原型を取り出すと、砂の鋳型ができます。これに溶かした金属を流し込むそうです。

写真の香炉は「蝋型鋳造法」で造られた蝋型原型師『須賀 月芳』の作品です。
祖父（蝋型原型師初代 月真叟松園/本名・須賀亥子歳）から三代にわたりその技法を継承し作品を世に送り出しています。精緻な仕上がりは美術品としても美しい作品です。

このように素敵な香炉にはどんな香りが似合うだろうと考えずにはいられません。美しい香炉からただよう香りをきっと故人も楽しんだのでしょうね。

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