では、前回の続きをご紹介していきます。(
前回記事をみる) 今回は少し、全体像を整理しながらご説明したいと思います。
「AOAO SAPPORO」は、都市型水族館ということで、札幌市中心部(南2条西3丁目)の大型複合ビル「moyuk SAPPORO(モユク サッポロ)」の4階から6階にあります。
ミニテーマパークとしての「AOAO SAPPORO」
下見をし、インタビューをしてみて、筆者が知っていたこれまでの「水族館」とはずいぶん違うな、と感じました。
同館サイトによれば、「生命のワンダー みえないものがみえてくる」を全体テーマとして掲げ、「まちなかにある自然への入り口」を標榜されています。筆者にとっては、「テーマパーク」といったほうがしっくりくる感じを受けました。
▲と●のロゴがついた青いリーフレットには、「海や川の生き物と私たちの暮らしが生き生きとつながり合うありかたを探し、かたちにしていく場所です。」と書かれていました。
▲と●の中にある小さな白い点には「生き物たちの生命の輝き」と、「生き物たちを観察する眼」という二つの意味が込められているそうです。
4階から6階の各フロアについても、それぞれテーマが設定されていました。以下、それらを踏まえ、みていくこととします。
4階 CONNECT
このフロアには、「人と水の世界がつながる」ということでエントランスホールがあり、館内展示やイベントと連動するミュージアム要素を兼ね備えたショップも併設されています。「たべっ子水族館」というものも売られていました。(「何それ?」と思われた方、行ってみればわかりますヨ。)
入口を入ると、ラボラトリー(LABORATORY)ゾーンとなっており、人工海水製造装置があったり(水の循環のラボ)、水族館の裏側でおこなわれている生物の育成作業を見ることができる(水の生物のラボ)ようになっています。
(これらについては、前回の記事もご参照ください。)
5階 SCOPE
このフロアのテーマは「見えなかった世界を見つめる」です。大きくは、ネイチャーアクアリウム(NATURE AQUARIUM)とライブラリーアクアリウム(LIBRARY AQUARIUM:観察と発見の部屋)とに分かれております。
ネイチャーアクアリウムについては、前回の写真でも少し紹介しました。自然の生態系の概念を水槽の中に取り入れ、石や流木、そして水草を用いて美しい景観や魚の棲息環境を表現した日本発祥の水草レイアウトのことです。水系クリエイターである天野 尚 氏により創始・提唱されました。照明を落とし、水槽を際立たせた演出となっています。
また、水の入っていない「悠久の杜」というのがありましたが、主に熱帯性の植物を水槽の中に取り入れ、その植物の生長によって景観をつくり観賞する展示スタイルで、「パルダリウム」というそうです。パルダリウム(paludarium)は、ラテン語で湿地・沼地を意味するpalusとarium(~な場所、空間)からなる言葉とのこと(https://www.aquashimons.com/staff-blog/p4813 より)。
一方、
ライブラリーアクアリウム(LIBRARY AQUARIUM:観察と発見の部屋)では、生物の特徴や魅力(形状や動き)にフォーカスし、図書館のように分類された展示がなされています。
展示生物に関連する書籍も並べられており、興味が湧いた生物やその生態について、より深く探究することができます。
面白いのは、「もさもさ」、「にょろ」、「ぺったんこ」といった表現で分類されていたことでした。
「もさもさ」の例として、ミズタマサンゴ(写真❼左)とムラサキハナギンチャク(写真❼右)を紹介しましょう。
ミズタマサンゴは、表面にある嚢胞(のうほう)が水玉に見えることからこの名が付けられました。サンゴの中でも非常に強い毒を持っており、スウィーパー器官という触手を延ばし他のサンゴを攻撃するとのことです。(DMMかりゆし水族館サイト「いきもの図鑑」より。)
ムラサキハナギンチャクは、日本中部~九州までの波の静かな内湾の砂泥地でみられ、自分の体から出す粘液と周囲の砂や泥で丈夫な管を作り、その中にすんでいます。日本特産種とのことです。(串本海中公園サイト「水族館の人気者」より。)
「にょろ」の例として、モヨウモンガラドオシ(写真❽上)とハナヒゲウツボ(写真❽下)を紹介します。
モヨウウモンガラドオシは、ヘビではなくれっきとした魚で、ウナギやウツボなどの仲間です。伊豆半島~土佐湾に分布し、砂礫底に生息します。エラで呼吸できること、ヒレがあること、ヘビのようなウロコがないことなどから魚であることがわかるとのことです。(京都大学・白浜水族館サイト「展示生物一覧・第3水槽室」より。)
ハナヒゲウツボは、浅いサンゴ礁域に生息するウツボの仲間です。鼻孔が管状に伸び、さらに管の先端が花びら状に開くことから、その名が付けられました。ハナヒゲウツボはオスとして生まれ、成長するとメスに変わります(雄性先熟)。それだけではなく、幼魚は黒色で、成長すると、鮮やかな青色に変わり、メスになると鼻先から背ビレまで黄色くなるのです。(碧南海浜水族館サイト「サイト内検索」にて。)
「ぺったんこ」の例として、リーフフィッシュ(写真❾上)とピパピパ(写真❾下)を見てみましょう。
リーフフィッシュはアマゾン川に生息しており、主に流れがゆるやかな場所で「枯葉」に似せた姿(擬態という)で生活しています。遊泳するために必要なヒレに模様はなく、透明で見えません。
口の先にあるヒゲのようなものは、皮弁と言われる皮膚の一部で葉っぱの葉柄に似せているのではないかとの話もあります。リーフフィッシュが擬態する理由としては、天敵や獲物に見つからないようにするためです。
自然界では小型のテトラ類(カラシン目に分類される一部の小型魚類の総称)を獲物としています。夜になり流れがゆるい場所へ休息にきたところを、ひらりひらりと水中を漂う枯葉のごとく近づき、一瞬で飲み込むように食べて(捕食して)いるとのことです。
(世界淡水魚園水族館サイト「おもしろ飼育コラム」より。)
ピパピパは、南米に生息するカエルで、和名はコモリガエルです。前足の先端にある星型の感覚器にエサがふれると、口の中にかき込むようにしてエサを食べます。最大の特徴は子育ての方法で、メスが背中にあるくぼみでオタマジャクシを育てます。
(サンシャイン水族館サイト「カエルってどんな生き物?」より。)
5階では、ほかにもたくさんの生き物に出会えます。写真❻の大きさにも驚かされますが、日本のオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体だそうです。
6階 COMMONS
6階のテーマは、「ひとつの世界をともにする」です。
同館のリーフレットには、「散歩する、遊ぶ、飲む、食べる、ひと休みする・・・違いをこえて同じ時間を分かち合う、みんなの広場。」と書かれていました。
このフロアは、「キタイワトビペンギン」のいるゾーン(PENGUINS)と、プランクトンルーム(PLANKTON ROOM)、グリーンルーム(GREEN ROOM)、 ブルールーム(BLUE ROOM)などで構成され、さらに、パンとお酒が楽しめるパンバル「シロクマベーカリー&」もあります。
そこで購入したものは全フロアで飲食可能です。グリーンルームを除き、照明は抑制気味となっています。
パンバルに沿って奥へ進んでいくと、クラゲが展示されているプランクトンルームがあります。
通路を挟んだ反対側にはペンギンゾーンがあり、ベンチなども用意されていますので、漂うクラゲや泳ぎ回るペンギンを見ながら、ひとときを過すのも良いでしょう。
なお、生物担当のスタッフがペンギンたちの食事や健康管理を行う「ロックホッパータイム」は、毎日11:00と16:00にあり、キタイワトビペンギンについては、土日の14:00にも予定されているようです。
2種類いるペンギンのうち、「フェアリーペンギン」(リトルペンギン、コガタペンギンなどともいう。写真❿)については、グリーンルームのほうで展示されていました。世界一小さなペンギンで12℃~22℃が適温とされているため、熱帯地方原産の瑞々しい植物を展示しているグリーンルームの一角に展示スペースを用意されたようです。
ブルールームは、広大な海の世界をデジタルアートで再現した展示スペースです。扇状に広がった幅約20メートルの大型スクリーンには、大きなシャチやくじらが投影されるだけではなく、総延床面積約120平方メートルの床にまでリアリティあふれる海の生物たちが投影され、まるで海の中にいるかのような没入感を味わうことができます。
お父さん・お母さんたちと一緒に来ていた小さなお子さんたちは、魚とともに走り回り、転げ回って大喜びでした。
「AOAO SAPPORO」では、常設展示以外にも様々なイベントが開催されています。
5Fの「CO-WORKING」スペースでは、2003年にむかわ町穂別地区で発見されたカムイサウルスの特別企画展「ザ・パーフェクト恐竜」が1月15日まで行われていました。
1月23日には、キタイワトビペンギンの食事と健康管理をする時間についてスタッフが解説する、「ロックホッパータイムのひみつ」が16:00から行われるとのことです。
休館日を除き、10:00~22:00と比較的遅くまで、しかも、夏も冬も手ごろに楽しめますので、休館日等を確認しながら出かけてみてはいかがでしょうか。
AOAO SAPPORO公式ホームページ
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