全国のダンススタジオ日本一を決定する大会、「第一生命 SD.LEAGUE 2024」北日本予選が先日Zepp Sapporoで行われ、まいぷれ札幌市中央区編集部も取材に行ってきたことは、8月16日の記事でお伝えしました。
その大会に唯一、中央区から参加されたダンススタジオがあり、こちらも早速、取材させていただきました。ダンススタジオLoRe(ロア)様です。
お話を伺ったのは、スタジオ経営者で代表の鈴木明倫(あきのり)氏と、北日本予選に参加した際のチームリーダー岡元夢奈(ゆめな)さんです。 (取材日:2024年8月21日)
■ダンスとのかかわり
編集部:まず初めに、ダンスを始めたきっかけなどについて教えてください。
鈴木代表:私が通った小学校にダンスクラブがあったんです。そのクラブ活動は小学4年生からできました。ですから10歳の時ですね。
編集部:え~っ、公立の小学校ですよね。札幌でそんな学校があったんですか!?
鈴木代表:はい。たぶん当時はその学校くらいだろうと思いますが。
編集部:どのようにしてそのクラブがあることを知ったんですか。
鈴木代表:兄がいまして、その小学校のクラブに入っていたんです。当時、「少年隊(東山紀之氏などが所属していたアイドルグループ)」のダンスなどを教えてくれる先生がいて、兄に勧められ、自分もそのクラブに入りました。
編集部:うわ~、それは私でも気になりますね! ところで夢奈さんの場合はどうでした?
夢奈さん:私は8歳でダンスを始めました。小学1年生の頃、アイカツ!(アイドル活動!)をしていたのですが、ディズニーランドのパレードのダンスを見たとき感激し、自分も踊ってみたいと思ったんです。
編集部:なるほど。で、その後どのように始められたんですか。
夢奈さん:たまたま知人でダンスを習っている人がいて、その人に教えてもらったスタジオに通うようになりました。その後、(鈴木)明倫先生について今のスタジオに移りました。
編集部:そうですか。今では小中学校や高校でもダンスの授業がありますものね。
さて、鈴木さんは現在このスタジオを経営されていますが、小学校以来ずっとダンスとのかかわりは続いていたわけですね。
鈴木代表:はい。途中は省略しますが、大学は北海道教育大学岩見沢校芸術課程で学びました。在学中に、東京で行われるミュージカルのオーディションを勧められ、合格し、出演する機会がありました。
編集部:それはすごいですね。でもオーディションに受かるには、それなりの実力がないと難しいと思うのですが。
鈴木代表:そうですね。大学ではけっこう色々なレッスンがありましたから。そしてミュージカルに出演できたのはほんとうに貴重な機会でした。それなりのギャラももらえ、そのような世界があることを知ったのもその時です。
編集部:なるほど。スタジオを経営することになったのが、分かったような気がします。
さて、夢奈さんは、ダンスを習い始めてどうでしたか。
夢奈さん:習い始めたころ、家でも練習していたら、父からさんざんダメ出しをされました。「うるさいな~」って思ったんですが、父はけっこう上手なんで、「仕方ない」とも思っていました。
編集部:お父さんは、なんでそんなに上手だったんでしょうね。お母さんもダンスをしていたんですかね。
夢奈さん:母は全くしていなかったようです。で、父なんですが、習い始めて2年くらい経ったころ、父が実は、元「Be Bop Crew」に所属していたことを告げられました。「それを早く言ってよ!」って思いましたね(笑)。
編集部:えーっ、あの「Be Bop Crew」に!! とびっくりしたいところでしたが、残念ながらそのあたりの知識が全くなく、ちょっと気まずい雰囲気に・・・。
(気をとり直し)鈴木さんは大学卒業後、すぐにダンスの業界に進まれたのですか。
鈴木代表:いえ、大学卒業後1年間、児童会館の職員をして働きながらお金を貯め、その後、本格的にプロダンサーとして活動するために上京しました。
編集部:上京されて、色々と活躍されたと思いますが、札幌に戻りダンススタジオをオープンされたのには、何か理由があったのですか。
鈴木代表:30歳になる年に、地方からの発信に魅力を感じ、北海道に多くの可能性を感じました。そのため再び拠点を札幌に戻してこのスタジオをオープンしたんです。
編集部:そうですか。地方でもできると。札幌に戻られて、スタジオ以外でも教えておられるようですね。
鈴木代表:はい。札幌龍谷学園高等学校でダンス授業を6年間教えました。また、北海道栄高等学校ダンス部講師を3年間務めています。
編集部:ダンス業界との関わりとしてはどうですか。
鈴木代表:北海道のダンススタジオ17団体が加盟する一般社団法人北海道ダンスプロジェクトにLoReも加盟しており、定期的に他のダンススタジオとの交流も行っています。
編集部:そうですか。そうした交流も大切ですね。さてまた、夢奈さんに伺いますが、凄いお父さんだったことが判明したわけですが、それまでまったく気づかなかったんですか。
夢奈さん:まったく知りませんでした。父がダンスをしていた話は家では一切なかったですから。
編集部:ご両親でダンスに出かけたりしていたら分かったんでしょうけどね。
夢奈さん:そうですね。さっきお話したように、母はまったく踊りませんので・・・、父はこっそりダンスに出かけていたかもしれませんが、それも全く分からなかったですね。
編集部:それはそうと、学校でのダンス授業などはどうでしたか。
夢奈さん:学校の授業でもダンスが取り上げられるようになり、高校では、先生が理論的な話をしたあと、実際の踊りは私にその役目を振られましたね。
編集部:やっぱり!そうかも…と思っていました。おそらく、先生よりも夢奈さんのほうがはるかに踊れるでしょうからね。
夢奈さん:授業のとき先生から、「〇〇と□□と△△を入れて踊って見せて」なんて言われるんですが、「そんなの無理」と言ったことも多々ありました(笑)。
編集部:そんなのをみんな盛り込んだルーティンなどありえないと。
夢奈さん:はい。そうなんです。
編集部:体育の先生も大変ですね。なんでもできなくちゃならないとなると。
夢奈さん:ホント、そうだと思います。
■SD.LEAGUE北日本予選について
編集部:先日の「SD.LEAGUE北日本予選」では、夢奈さんがチームリーダーとなって参加されました。だいぶ練習されたんでしょうね。
夢奈さん:参加が決まったのは5月でしたが、実際に練習を始めたのは6月後半になってからです。明倫先生について練習できたのは8回ほどで、必ずしも全員揃っての練習ではありませんでした。
編集部:鈴木代表もお忙しいので・・・。練習で工夫されたことはありましたか。
夢奈さん:本番が近づくにつれ、1~2時間程度の全員揃っての自主練習を6回ほど行い、なんとか間に合わせました。
編集部:そうでしたか。ところで参加にあたっての準備は、どのようなものなんですか。
鈴木代表:参加を決めたあと、定められた楽曲のなかから100曲位を聴いたうえで使う音源を決め、それにあわせて振付をしました。
編集部:なるほど。しかし100曲から選ぶとは、大変ですね。
鈴木代表:そうなんです。ですから、オリジナル楽曲での参加も認めて欲しいとSD.LEAGUE事務局のアンケートに書きました。
編集部:今回の北日本予選では、BILLOW(スタジオ)のVAGUEチームが1位になりました。
鈴木代表:そうですね。SD.LEAGUEの公式サイトには掲載されていませんが、ウチは6位入賞という結果でした。
編集部:惜しかったですね。19チームの踊りを一通り見ていましたが、ストリートダンスというくくりの中で、私はLoReさんのダンスが好きでしたね。
鈴木代表:それは、うれしいです。ウチはHIPHOPやBREAKINGなどよりもJAZZやCONTEMPORARYといった内容のダンスなんです。
編集部:けっこうダンスの雰囲気が違いますよね。ところで夢奈さんは、チームの出来としては100点満点で何点くらいだったと思っていますか。
夢奈さん:そうですね。自己採点では50点くらいですかね。
編集部:そうですか。けっこう厳しい感じもしますが。
夢奈さん:あそこがまずかったとか、色々と思うところがあります。それでも、踊っていてチームとしての一体感を感じられた瞬間もあり、思わず涙ぐんでしまいました。母が見に来てくれていて、「とてもよかった!」と言ってもらえたので、少し安心もしました。
編集部:審査をされたジャッジの方によっても、見方が異なると思うのですが。
夢奈さん:予選終了後、4名のジャッジの方からの講評がありましたが、上位入賞したチームの踊りは、確かにそういった点で評価されていたと感じました。
■今後について
編集部:色々お話を伺ってきましたが、今後についてお聞かせください。
鈴木代表:スタジオLoReを始めて6年目になります。コンセプトは、「北海道から世界へ」です。
編集部:先日の北日本予選を見たところ、踊っていたのは8割がた女性でしたが、LoReさんでの生徒さんの状況はどうなんでしょうか。
夢奈さん:生徒は女子の小中学生がほとんどで、ボーイズCLASSもありますが、10人位だと思います。最年長は50歳代の女性ですね。
編集部:そうですか。しかし、社会におけるダンスの位置づけもだいぶ変わってきたように思います。今月行われたパリ五輪ではBREAKINGが競技種目に取り上げられ、湯浅亜実選手が初代女王に輝きました。
鈴木代表:そう。今は、私が大学を出て方向性を決めようとした頃よりも、ダンスを目指す人たちにとってよい時代になりつつありますね。
編集部:見通しは明るいと感じていますか。
鈴木代表:はい。ウチはJAZZやCONTEMPORARYといったジャンルのダンスをメインとしていますが、唯一無二のオリジナルなダンスは、地方だからこそ発信できると考えています。
編集部:夢奈さんにとって、このスタジオはどんな存在ですか。
夢奈さん:LoReは、明倫先生の人間性が素晴らしいと思っています。レッスンでの態度とか姿勢をよく見てくれていて、報われるべき人が報われているスタジオ。このように温かいスタジオは他にはないと皆も言っています。
編集部:なるほど。鈴木さんとしては、スタジオ運営をするうえで課題に感じていることはありますか。
鈴木代表:そうですね。自分自身がプロダンサーとしてスタジオ外の舞台に立つことが多いため、自分の舞台が忙しくなると、スタジオ経営との両立が難しいことがありますね。
編集部:そうした中でも、今後とくに目指していることや具体的目標があれば教えてください。
鈴木代表:自スタジオの方向性は、勝ち負けではなく、ダンスを見てくれた人に「感動した、引き込まれた!」と喜んでもらうことです。唯一無二の自分たちの表現を、北海道から道外や海外に発信していきたいです。
編集部:夢奈さんは、今後についてどう考えておられますか。
夢奈さん:私にとってダンスは、人生のなかで一番に思っていることではありますが、今後の仕事としてはCA(キャビンアテンダント)を目指しています。来年から千歳の専門学校に進む予定です。
編集部:よくわかりました。鈴木さん、夢奈さん、是非その夢・目標を実現していってください。本日は長時間お話を聴かせて頂き、ありがとうございました!
<インタビュー後記>
鈴木代表が席を外されたとき、夢奈さんにこっそり訊いてみました。「明倫先生ってどんな人?」と。
すると、「愛情深い人ですね。」といった答えが返ってきました。理由を聞くと、生徒から成長し、このスタジオのインストラクターになっている人がいて、その人が誕生日のときに、明倫先生の発案で、皆でお祝いをして本人を驚かせたことがあったのだそうです。
鈴木代表のお人柄がわかるエピソードでした。
ダンススタジオLoRe 公式サイト